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<印刷工程>印刷の基本的な流れをご紹介

いざ印刷物を作ろうと思っても、デザインができれば製品が出来上がるわけではありません。
印刷物を初めて作ろうとしている方に向け、どんな流れで印刷物が完成するのか、代表的な印刷方式であるオフセット印刷の流れを例にご紹介します。印刷工程を知ることで、トラブルを避け、コストを抑え、より理想に近い印刷物を作れるようになります。ぜひご自分の作りたい物を依頼する時にご活用ください。

<印刷方式>
印刷には、オフセット印刷以外にも活版印刷凹版印刷グラビア印刷)、孔版印刷シルクスクリーン印刷)、オンデマンド印刷など、様々な方式があります。それぞれ特徴が異なるため、印刷物の種類や目的に合わせて最適な方式が選ばれます。
●詳しい内容はこちらの記事でまとめていますのでぜひご覧ください。

印刷物ができるまでには大きく分けて3つの工程がある

印刷工程1.png

①プリプレス:印刷物の前準備をすべて行う工程です。
②プレス:実際に印刷を行う工程です。
③ポストプレス:印刷されたものを最終的な形に仕上げる工程です。

プリプレス(印刷物の前準備)

Pre(前の)Press(印刷)という言葉の通り、印刷機に通す前に必要となるすべての事前準備を指す工程です。
製品の起案や印刷するデザインの制作・編集、印刷するために必要な版の製作など多くの工程があります。
ここでの準備が、最終的な印刷物の品質を大きく左右します。

①印刷物の企画

まずは、どんな印刷物を作りたいのか、その目的やターゲット、コンセプトを明確にします。例えば、「新商品の魅力を伝えるパンフレット」「イベント告知のチラシ」「社内報」など、目的によってデザインも内容も大きく変わります。
写真やイラストを新たに制作する場合、カメラマンやイラストレーターに依頼する必要があります。
取材やライティングが必要になる場合は、取材日程の調整・各関係者への連絡、コピーライターの手配などが必要です。
制作物のサイズや紙の種類、加工方法など仕上がりイメージも固めます。また、納期や予算もこの段階で具体的に決めておくことで、その後の工程がスムーズに進みます。
準備だけでも決めることが多く、とまどうかもしれませんが、まずは印刷のプロにご相談ください!

②入稿

入稿とは、テキストや画像、レイアウトイメージなどの原稿データを印刷会社に渡すことです。カタログ制作など莫大な情報が必要な場合には、事前にデータ形式やファイル名などのルールを統一する等、印刷会社から指定されたルールに則ってデータを作成・入稿していただくことでスムーズな進行につながります。

③デザイン・組版(DTP)

企画で決めた内容を基に、印刷物の具体的なイメージを作成します。どんな色を使い、どんな写真やイラストを配置するのか、文字の大きさやフォントはどうするかなど、視覚的な要素を形にしていきます。
DTPとは「Desktop Publishing(デスクトップパブリッシング)」の略で、パソコン上でデザインやレイアウトを制作することを指します。企画・デザイン作成時に決めた要素をデジタルデータとして正確に配置していきます。文字の大きさや行間、写真の解像度など、印刷に適したデータを作成することが重要です。

④校正~校了

出来上がったDTPデータをお客様に紙面で確認して頂き、誤字脱字やレイアウトの不体裁などの修正箇所を指示して頂きます。これを校正と言います。指示して頂いた内容を印刷会社が修正し、印刷会社とお客様の間で完全データとなるまで校正を続けます。修正箇所がなく校正が完了した状態を校了と呼びます。
●初心者でもミスなく校正するコツはこちらの記事でご紹介しています。

⑤RIP

DTPで作成したデータは、そのままでは印刷機で読み取ることができません。そこで必要になるのがDTP出力(RIP)です。RIPとはRaster Image Processorの略で、パソコン上で制作した絵柄や文字のデータを、印刷機が読み取れる形式(ラスターデータ、網点データ)に変換します。オフセット印刷では、カラーを表現するためにCMYK(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)の4色のインキを使いますが、この工程でCMYKそれぞれに版が作れるように色分解されます。

⑥色校正

プリンターと印刷機では色を再現する機器の違いなどから印刷した際の色味が異なります。「印刷機で実際に印刷してみるとイメージと違った!」なんてことにならないために、印刷した時の色味を確認する作業が色校正です。主な2種類をご紹介します。
色校正:実際に印刷する色味に近いインクジェット出力で色味を確かめる方法で、現代の主流です。
本機校正: 実際に使う印刷機・紙・インキで少部数を刷って確認する方法です。最も仕上がりに近い状態を確認できますが、コストがかかります。

⑦下版

校正や検版作業で問題がないことが確認され、印刷データが最終的に承認されたら、次の工程に移ります。これを下版げはんといいます。ここからはオフセット印刷時に必要な版の制作作業に入っていきます。

⑧製版

下版されたデータをもとに、実際に印刷するための刷版を作成する工程です。昔はデータが完成したら専用フィルムを出力し、そのフィルムを刷版に焼き付けたものを使って印刷していました。現在では専用フィルム出力を省き、データを直接刷版に焼き付けるCTP(Computer to Plate)での製版が主流です。 オフセット印刷の場合、主にCMYKの4種のインキで印刷するため、4つの版が必要となります。

印刷工程2.png

⑨検版

製作した版に、デザインの欠けや傷、汚れなどがないか最終的に点検する作業です。わずかなミスでも、大量に印刷されてしまえば大きな損害につながるため、非常に重要な工程です。

印刷工程3.png

オンデマンド印刷の場合

オンデマンド(デジタル)印刷の場合、版を必要としない印刷方式のため、製版〜検版は不要となります。これは、必要な時に必要な部数だけ印刷できるため、小ロットの印刷や短納期で仕上げたい場合に有効な印刷方法です。

プレス(印刷)

プリプレス工程で準備された刷版と紙、インキを使って、実際に印刷物を刷り上げる工程です。

①紙積み

印刷機の給紙部に印刷する紙を積み上げる作業です。言葉にすると単純に聞こえてしまいますが「紙積み3年」という言葉があるほど、印刷業界では基礎であり技術と体力を必要とする重要な工程です。印刷会社の印刷量となるとかなりの枚数を積む必要があり、紙の種類や厚みによって機械の設定を微調整しています。また、紙の束そのままの状態では紙同士がくっついてしまっているので、紙を積む前に紙と紙の間に空気を入れる「風入れ」をして紙詰まりや二重送りを防いでいます。

②刷版取付

プリプレスで作成された刷版を、印刷機の版胴に取り付けます。CMYKそれぞれの色が印刷後にピッタリ重なるよう、対応する4枚の版が正確な位置にセットされます。

③試し刷り

本番の印刷に入る前に少部数を試し刷りして、4色を調整して色合わせをしたり、印刷位置にズレがないかを確認する「見当合わせ」をしたり、最終チェックします。ここで問題があればすぐに調整を行います。

④本刷り~刷了

試し刷りで問題がないことを確認したら、いよいよ大量に印刷する本刷りが始まります。本刷り中も定期的に抜き取り検査をして色味や文字のかすれなど変化がないかチェックしています。
印刷物をすべて刷り終えた状態のことを印刷完了を略して刷了と呼びます。

ポストプレス(仕上げ)

刷了後の印刷物を最終的な製品の形に仕上げる工程です。ここでの加工によって、印刷物の見た目や使い勝手が大きく変わります。

①-1 化粧断ち

チラシやポスターなど1枚仕上がりの印刷紙は、通常、製品の仕上がりサイズよりも少し大きめに印刷されます。これは、印刷時の位置ズレや裁断時の誤差を吸収するためです。化粧断ちとは、不要な部分を断裁し、最終的な仕上がりサイズに正確にカットする作業です。

①-2 折り加工、丁合

パンフレットやリーフレットなど、複数ページの印刷物は折り加工で二つ折や巻三つ折など、目的の形に折ります。折り加工では「ミウラ折り」などの複雑な折り方まで対応可能です。
書籍などページが多いものは、基本1枚の大きな紙を3回折ってできる16ページ単位で「折丁」をつくり、正しい順序に並べる作業を丁合ちょうあい)といいます。

<折丁の作り方>

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②製本

丁合されたページを綴じて一冊の本にする作業です。製本方法には上製本、中綴じ、無線綴じなど様々な種類があります。
●製本方法については、こちらの記事で詳しくご紹介しています。

補足:付加価値を高める特殊加工

化粧断ちする前に、印刷物の用途や目的に応じて特殊加工を加える場合があります。見た目の美しさや耐久性を高める表面加工や金、銀などメタリックの箔を熱と圧力で紙に転写する箔押し加工など、見た目を大きく左右する特殊印刷。その種類は多岐にわたります。
●特殊加工についてはこちらの記事で詳しくご紹介しています。
特殊印刷.jpg

納品

完成した印刷物は、お客様のご要望に合わせて帯掛け、クラフト包装やシュリンク包装を施し、場合によっては段ボールで梱包してご指定先へ納品します。

印刷物制作、理想を形にするために

企画から実際に印刷物が完成するまでには、さまざまな専門的な工程があることをご理解いただけたかと思います。全体の流れを把握することで、たとえば「デザインにこだわりたいから、プリプレスの時間をしっかり確保しよう」「特殊な加工を施したいから、ポストプレスの情報を集めよう」といった具合に、ご自身の作りたいものに合わせて、どの工程に力を入れるべきかが見えてくるはずです。また、無事にお客様の手元に綺麗な印刷物を届けるために、納期には余裕を持って手配していただきますと安心です。
初めての印刷物制作は、分からないことや不安なことも多いかもしれません。この記事があなたの理想の印刷物を形にする一助となれば幸いです。

もしこの記事を読んでもまだ不安が残るようでしたら、創業110年以上、紙と印刷のプロとして豊富な実績を持つ私たちYPGへ、ぜひお気軽にご相談ください。あなたの疑問を解消し、納得のいく印刷物を制作できるよう全力でサポートさせていただきます。

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