印刷の種類を徹底比較!特徴やおすすめ用途まとめ
「印刷したいものがあるけれど、どんな印刷の種類があるのかわからない...」
「いざ印刷会社に頼もうにも、どの印刷方式を選べば理想の仕上がりになるんだろう?」
せっかく印刷するなら、イメージ通りの美しい仕上がりにしたいですよね。この記事では、そんなお悩みを解決するために、主な印刷の種類と、作りたいものに合わせたおすすめの印刷方式を徹底解説します。それぞれの特徴を知れば、用途や予算に合わせて最適な印刷方法がきっと見つかりますよ!
印刷の種類ってどんなものがあるの?
「オフセット印刷」や「オンデマンド印刷」という言葉を耳にしたことがあるかもしれません。実は、これらの印刷方式は、版の有無やインキの転写方法など、それぞれの特徴によって向いているロットや印刷基材、仕上がりの雰囲気が大きく異なります。特徴を理解し、あなたの作りたいものにぴったりの印刷方式を選びましょう。
●オフセット印刷とオンデマンド印刷の違いに関する詳しい内容はこちら
有版印刷と無版印刷
印刷方式は大きく分けると「有版印刷」と「無版印刷」の2つがあります。有版印刷に使われる「版」とは、印刷したい絵柄を転写するためのハンコのようなものです。単色印刷の場合は1種類の版が必要ですが、フルカラー印刷の場合は、最低でもC(シアン)・M(マゼンタ)・Y(イエロー)・K(ブラック)の4種類の版を作成する必要があります。
無版印刷でもCMYKのインキを使用しますが版を作る必要がありません。ご家庭や会社のプリンターを想像していただくとわかりやすいかもしれません。
代表的な印刷方式とおすすめ用途
代表的な印刷方式、種類、おすすめ用途について表にまとめました。
種類 | 特徴 | 用途例 | 素材 |
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有版印刷(アナログ印刷) | 平版(へいはん)印刷 | オフセット印刷 | ○写真が鮮明 ○同じ絵柄を大量印刷 パンフレット、カタログ、ポスター、チラシ、名刺、はがき、書籍、雑誌、新聞など |
凸版(とっぱん)印刷 | 活版印刷、 フレキソ印刷 | ○文字が中心 活版印刷 新聞、雑誌、書籍、名刺、封筒、案内状、ショップカード フレキソ印刷 段ボール、フィルム袋(レジ袋)、布など |
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凹版(おうはん)印刷 | グラビア印刷 | ○カラー表現が多い ○大量印刷に対応 ○紙以外の平らな媒体 紙幣、証券、美術書、写真集、食品包装用フィルム、包装紙など |
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孔版(こうはん)印刷 | スクリーン印刷 | ○表面が滑らかなものや曲面など何にでも印刷可能 ○少量生産対応 ビン、タンブラー、プラスチックボトル、ステッカー、クレジットカード、Tシャツ、ICチップ、液晶など |
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無版印刷(デジタル印刷) | オンデマンド印刷 | ー | ○小ロット・低コスト・短納期 ○デザインの変更が多い インクジェット方式:写真印刷、年賀状、試作印刷 トナー方式:社内資料、会議資料など DM、ポストカードなど 宛名印刷などの可変データ印刷 |
印刷の種類と特徴
平版印刷
オフセット印刷
オフセット印刷は、印刷業界で主流となっている印刷方式です。水と油が反発する性質を利用しており、版に印刷したい部分を親油性、印刷しない部分を親水性になるように処理します。版に水と油性のインキを乗せると、親油性の部分にだけインキが残ります。そのインキを一旦「ブランケット」と呼ばれるゴム製の胴に転写(オフ)、その後、紙に印刷(セット)するため、「オフセット印刷」と呼ばれます。
メリット
①短時間での大ロット印刷に最適
②印刷部数が増えるとコストを抑えられる
③印刷できる紙の種類・サイズが豊富
④色の再現性が高く写真やグラデーションなどの微細な表現が可能
デメリット
①ロットが少ないと割高になる
②納期が必要
③少部数・多品種の印刷には不向き
●オフセット印刷に関する詳しい内容はこちら
凸版印刷
ハンコと同じように、版の凸部分にインキを付けて直接用紙に圧力をかけて転写する印刷方式です。代表的なものに活版印刷とフレキソ印刷があります。
活版印刷
最も古い印刷方式の一つで、金属製の版の印刷したい部分を凸状に残して他の部分を削り取って作製します。
メリット
①文字の輪郭がくっきりとしてシャープな仕上がり
②インキの濃淡やかすれなど、手作り感のある独特の風合いが出る
デメリット
①印刷時に紙がよれたり、しわになったりしやすい
②圧力によって細かい柄や小さな文字がつぶれることがある
③版の文字が左右反転しているため、印刷前の誤字脱字の確認が難しい
フレキソ印刷
柔軟性のある樹脂製の版を使用するため、段ボールや布、フィルムなど、表面が平らでない素材にも綺麗に印刷できます。
メリット
①比較的低い圧力で印刷でき、水性インキなど環境に優しいインキも使用可能
②段ボールや不織布など、凹凸のある素材にも鮮明に印刷できる
デメリット
①オフセット印刷ほど緻密な表現は苦手で、グラデーションや細かいデザインには不向き
②オンデマンド印刷ほどの小ロット、オフセット印刷ほどの大量印刷には対応できない
凹版印刷
グラビア印刷
凸版印刷とは逆に、版の印刷したい絵柄部分を凹ませてインキを溜め、紙に転写する印刷方式です。凹んだ部分の深さでインキの量を調整し、色の濃淡を表現します。鮮やかなフルカラー雑誌の印刷によく使われたことから、グラビア印刷とも呼ばれます。
メリット
①色の再現性が非常に高く、写真やグラデーションを滑らかで高品質に表現できる
②インキの耐久性、速乾性に優れており、フィルムなど紙以外の平らな素材にも安定した品質で印刷可能
デメリット
①版の制作に高額なコストがかかるため、小ロット印刷には不向き
孔版印刷
スクリーン印刷
版に小さな孔(あな)を開け、そこからインキを押し出すことで印刷する方式です。スクリーン印刷とも呼ばれ、かつては絹の繊維のスクリーンが使われていたため、シルク印刷、シルクスクリーン印刷とも呼ばれます。
メリット
①表面が滑らかなものだけでなく、曲面、クレジットカードやTシャツなど様々な素材や形状のものに印刷可能
②インキの種類が豊富で、素材や用途に合わせて選択できる
デメリット
①版の耐久性が低いため、大量印刷には向かない
②インキが乾きにくく、色むらが出やすいため、多色刷りよりも単色刷りの方が適している
オンデマンド印刷
オンデマンド(On-Demand)は英語で「要求に応じて」という意味で、必要な時に必要な部数だけ印刷できる方式です。版を作成する必要がなく、デジタルデータをそのまま印刷できるため、手軽に利用できます。
インクジェット方式
印刷機に内蔵されたノズルから、インキをスプレーのように紙に直接吹き付けて印刷します。家庭用プリンターの多くはこの方式です。
メリット
①初期費用が比較的安い
②写真などの高画質印刷に適しており、家庭での年賀状印刷や写真プリントによく使われる
③色の再現性に適している
デメリット
①印刷速度が遅い
②インキカートリッジの価格が高く、デザインによってはインキ消費量が多くなり、印刷コストが高くなる傾向がある
トナー方式(レーザープリント)
粉状のインキであるトナーを使用し、熱で圧着させて印刷します。インキを乾かす必要がなく、短時間で仕上がります。オフィスにあるコピー機の多くはこの方式です。
メリット
①必要な部数だけ印刷できる
②内容が一部異なる印刷物にも柔軟に対応できる
③急な修正や短納期にも対応可能
④少部数の特色印刷に対応できる場合がある
デメリット
①オフセット印刷と比べると色の表現力はやや劣る
②熱に弱い紙には適さない
③印刷物を高温のものに密着させると、印刷が剥がれる可能性がある
使用目的別の印刷分類
印刷物は目的に合わせて大きく6つに分類されます。
商業印刷物
商品やサービスの宣伝・販売促進といった広告宣伝用、会社案内や社内用印刷物といった業務補助の役割を担う業務用があります。
特徴
①デザイン性が重視される
②フルカラーが多い
③短納期・大量印刷のニーズが高い
代表例
広告宣伝用:ポスター、チラシ、リーフレット
業務用:会社案内、社史、社内報
出版印刷物
出版社を通して読者に情報を定期、もしくは不定期に届ける印刷物です。また、書籍の制作費を自費で賄い、出版社を通して書店に流通させる自費出版の本なども出版印刷物に該当します。
特徴
①表紙と本文で異なる用紙が用いられることが一般的
②内容の校正・編集が重要
③ページ数が多い
代表例
定期出版:週刊誌
不定期出版:書籍、コミック、写真集、文庫本
事務用印刷物
一般的に業務処理上で必要となる印刷物で、事務用伝票、事務用品、ビジネスフォームの3種類に区分されます。ビジネスフォームとは、コンピュータでの事務処理の際に使用される伝票を指します。パンチ穴があったり、ミシン目が入った連続伝票を思い浮かべて頂くとわかりやすいかもしれません。
特徴
①多くがモノクロ印刷もしくは2色印刷
②定型フォーマットを利用することが多い
③連続伝票やミシン目入り、パンチ穴といった加工された用紙なども使う
代表例
事務用伝票:請求書、納品書、領収書、複写式伝票
事務用品:名刺、封筒、はがき、ノート、手帳
ビジネスフォーム:連続伝票
証券印刷物
法律的・経済的価値を持ち、金銭や権利、信用に関わる重要事項が記載された印刷物が証券印刷物に当たります。お金の代わりとして使える証券類と、クレジットカードなどの磁気カードに印刷したカード類に分類できます。
特徴
①偽造防止のための特殊印刷が必要(コピーガード、透かし、ホログラムなど)
②厳重な管理が必要
③セキュリティ性が極めて高い
代表例
証券類:株券、債券、商品券、紙幣、チケット(入場券、乗車券など)
カード類:クレジットカード、キャッシュカード、ICカード
包装印刷物(パッケージ)
商品の保護や販売促進、商品情報の表示のための包装に使用される印刷物です。紙器・包装用、軟包装用、その他包装用に分けることができます。
特徴
①デザイン性と実用性の両立が求められる
②耐久性や耐水性など、素材の選定が重要
③食品や医薬品など業種ごとの規制あり
代表例
紙器・包装用:段ボール、紙箱、包装紙
軟包装用:プラスチックフィルム、アルミ箔
その他包装用:容器類
印刷物に価値をプラスする特殊印刷・加工
上記以外にも、印刷物に特別な効果を与える特殊印刷・加工があります。代表的なものに、特色印刷、箔押し印刷、レーザー加工などがあります。
●特殊印刷に関する詳しい内容はこちら
まとめ
一口に「印刷」と言っても、印刷物の種類や用途によって最適な印刷方式は異なり、仕上がりやコストも大きく変わってきます。この記事を参考に、あなたの作りたいものにぴったりの印刷方式を選び、理想の印刷を実現してください。
YPGでは、オンデマンド印刷・オフセット印刷どちらの設備も整っており、お客様の目的やご予算に応じて最適な印刷方式でご提案させていただきます。こちらの記事を読んでもやっぱりよくわからない...という方もぜひお気軽にお問合せください。