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エコパッケージとは?基本から使用事例までご紹介

近年、企業のエコ活動への意識の高まりを感じる機会が増えました。商品の顔となるパッケージにおいても、環境に配慮した「エコパッケージ」の採用は、単なるトレンドではなく、企業価値を高める重要な要素となりつつあります。
しかし、エコパッケージと一口に言っても、具体的にどのようなものがあるのか、まだご存知ない方もいらっしゃるかもしれません。
この記事では、皆様の検討の一助となるよう、エコパッケージの基本的な考え方から具体的な素材、導入事例までを分かりやすく解説します。

エコパッケージの基本的な考え方

エコパッケージとは、環境への負荷を低減することを目的としたパッケージ全般を指します。その基礎となるのは、以下の4つのRの考え方です。

リデュース(Reduce:減らす)
使用する素材の軽量化や、パッケージを小型化することで廃棄量を削減する取り組みです。

リユース(Reuse:再利用する)
繰り返し使用できる容器や詰め替え用パッケージなど、再利用を前提とした取り組みです。

リサイクル(Recycle:再資源化する)
使用後に再資源化しやすい素材や構造を採用し、資源の循環を促します。

リプレイス(Replace:置き換える)
使用する素材を石油由来のプラスチックから、植物由来の再生プラスチックや紙に変更するなど、より持続可能な原料へ転換します。

これらの考え方は、パッケージの生産から廃棄に至るまで、あらゆる段階で環境負荷を抑えるための重要な指針となります。

なぜ今、エコパッケージが求められるのか

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エコパッケージの必要性が高まっている背景には、地球規模での環境問題があります。
ここでは代表的な3つの問題を取り上げます。

1. 限りある資源への依存

現代社会の多くのパッケージは、石油を主原料とするプラスチックに大きく依存しています。しかし、石油の可採年数は残り約50年程度と言われています。技術の進歩や新素材への代替によって可採年数は変動していますが、この有限な資源を使い続けることは、未来の世代に大きな負担を残すことになります。

2. プラスチックによる生態系への影響

使い捨てプラスチックの大量生産と不適切な廃棄は、地球の生態系に深刻な影響を与えています。特に、海に流れ出したプラスチックは、分解されずに細かく砕け、マイクロプラスチックとなって海洋生物の体内に入り込んでいます。食物連鎖を通じて、この問題は私たち人間の健康にも影響を及ぼす可能性が指摘されています。

3. ごみ集積場の限界とサステナビリティ

私たちの生活や産業から排出されるごみの量は近年減少傾向になりつつも、これまでの蓄積量があり、最終処分場の確保が世界的な課題となっています。ごみ処理にかかるコストや環境負荷も増大しており、ごみの削減は喫緊の課題です。
これらの課題は、すべてサステナビリティ(持続可能性)という大きなテーマにつながります。エコパッケージの導入は、資源の有効活用や生態系保護、ごみ問題の解決に貢献し、企業活動をよりサステナブルなものへと転換させるための具体的な手段となるのです。

エコパッケージを採用するメリット

エコパッケージの導入は、環境負荷低減だけでなく、企業にとっても多くのメリットをもたらします。

1. 持続可能な社会への貢献

エコパッケージへの転換は、SDGs(持続可能な開発目標)の達成にも貢献します。例えば、「目標12 つくる責任 つかう責任」や「目標14 海の豊かさを守ろう」などに直接的に関わる取り組みであり、企業の社会的責任を果たすことにつながります。

2. 企業イメージの向上とブランド価値の確立

エコパッケージは、消費者に環境意識の高い企業として認識されるきっかけとなります。環境に配慮した製品を選ぶ消費者が増えている中、エコパッケージは単なるコストではなく、企業のエコブランドへのイメージを認知させ、消費者との新たな関係を築くための重要な投資となります。

3. 新たなビジネスチャンスの創出

エコパッケージの原料調達や製造プロセスを見直すことは、地元の企業や海外のサプライヤーとの新たな協力関係を生み出す可能性があります。これにより、新しい技術や素材に出会ったり、新たな市場を開拓したりするなど、予期せぬビジネスチャンスにつながる可能性を秘めています。

主なエコパッケージ素材とその特徴

エコパッケージには多様な素材があり、製品の特性やブランドイメージに合わせて選択することが可能です。ここでは代表的な素材をいくつかご紹介します。

FSC認証紙

FSC認証紙は、環境や社会に配慮して適切に管理された森林から生産された木材パルプを原料として作られた紙のことです。この認証制度は、Forest Stewardship Council(森林管理協議会)が運営しており、森林の環境面、社会面、経済面の持続可能性を保証する国際的な認証制度です。FSC認証を取得した用紙にはFSCマークを付けることができます。
●FSC認証制度に関する詳しい記事はこちら

再生紙・再生パルプ

古紙や牛乳パックなどをリサイクルして作られる紙素材です。新品同様の白さは望めないものの素朴な風合いでナチュラルなイメージのパッケージにぴったりです。

非木材紙

非木材紙には、サトウキビから砂糖を搾り取った後の繊維質を原料としたバガスや成長速度が速すぎて「竹害」と言われることもある、熱帯アジア原産の植物で、木材よりも成長が早く、約半年ほどで収穫できるため安定供給が可能なケナフなどがあります。今まで廃棄されていたものや成長が速い植物を有効活用するため、資源の有効利用に貢献します。

生分解性プラスチック

自然界の微生物の働きによって、最終的に水と二酸化炭素に分解されるプラスチックです。使用後は環境中に残存しないため、プラスチックごみ問題の解決策の一つとして注目されています。

バイオマスプラスチック

トウモロコシやサトウキビといった植物由来の原料から作られるプラスチックです。石油資源の使用を抑え、燃焼時のCO2排出量を実質ゼロとみなす「カーボンニュートラル」に貢献します。

これらの素材は、それぞれ特性が異なります。例えば、再生紙やバガスは温かみのある風合いが特徴で、生分解性素材やバイオマスプラスチックは、従来のプラスチックに近い機能を持ちつつ、環境負荷を低減します。

環境に配慮した印刷・加工技術

パッケージの素材だけでなく、印刷や加工の方法にも環境配慮の選択肢があります。

水なしEco-UV印刷

有害な廃液が出ない「水なし印刷」と、速乾性の高いUV印刷を組み合わせた技術です。インキメーカーと共同で専用インキを開発するなど、環境負荷の低減と高品質な印刷を両立します。
●水なしEco-UV印刷に関する詳しい記事はこちら

カーボンオフセット印刷

印刷工程で発生するCO2排出量に相当するカーボンクレジットを購入し、CO2削減に取り組む団体を支援する印刷方法です。これにより、実質的にCO2排出量をゼロにできます。
●カーボンオフセット印刷に関する詳しい記事はこちら

ノンVOCインキ

通常の油性インキに含まれる有害なVOC(揮発性有機化合物)や石油系溶剤を排除したインキです。環境だけでなく、印刷作業者の健康にも配慮しています。
●ノンVOCインキに関する詳しい記事はこちら

エコ・プレス製本

従来の製本で使われる針金を廃止し、環境に配慮した新しい製本方法です。針金を使わないため、高齢者やお子様でも安心して利用できます。
●エコ・プレス製本に関する詳しい記事はこちら

企業におけるエコパッケージの導入事例

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それでは、エコパッケージの事例を見てみましょう。

簡易包装

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お菓子や花火、靴下など、プラスチック中心の包装を紙素材に切り替えたり、紙とプラスチックを組み合わせることでプラスチック使用量を削減しています。紙だけの包装にすれば、消費者の分別の手間を減らすことにもつながります。

脱プラスチック

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テイクアウト用容器をバガスや生分解性プラスチックを使用した環境に配慮した素材に食品容器に切り替える動きが広がっています。

リユース(再利用)

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化粧品ブランドでは、詰め替え式レフィルやリサイクルプラスチックを100%使用した容器を導入し、プラスチック消費量の削減に成功しています。化粧箱の簡易化や説明書の箱への直接印刷も、廃棄物削減の取り組みとして注目されます。

新素材(ユニークな紙素材)

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茶葉をパルプに混ぜ込んだ「茶紙」や、バナナの茎を繊維にした「バナナペーパー」など、ユニークな新素材も登場しています。特にバナナペーパーは、フェアトレードを通じて現地の雇用創出にも貢献するなど、社会的な価値も生み出しています。

まとめ

エコパッケージの採用は、持続可能な社会への貢献に加えて、企業のブランド価値向上や市場における競争力強化につながります。
まずは、現在お使いのパッケージを「リデュース」「リユース」「リサイクル」「リプレイス」の4つのRの観点から見直してみてはいかがでしょうか。貴社の製品に最適なエコパッケージを見つけることが、未来への投資につながる第一歩となるはずです。具体的なエコパッケージの導入に関するご相談は、ぜひYPGにお問い合わせください。

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