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デジタル印刷とは?魅力と活用法を徹底解説

かつては印刷物といえば「大量に作る」が主流でしたが、時代の変化とともに少部数に対応できる印刷物のニーズが高まってきました。昨今では、小ロットはもちろん、ムダ削減、パーソナライズされた印刷物など、多様なニーズに応える柔軟性から「デジタル印刷(オンデマンド印刷)」に注目が集まっています

しかし、デジタル印刷については「従来の方法と何が違うのか」「どんな場面で活用できるのか」といった疑問を抱えている方も多いでしょう。

本記事では、その基本的な仕組みから最新技術、活用方法まで詳しく解説し、あなたのビジネスやクリエイティブ活動に役立つ情報を提供します。
この機会に新しい可能性を探ってみませんか?

デジタル印刷とは?基本知識を解説

デジタル印刷は、従来の印刷に必要な「版」を必要とせず、印刷データを用紙に直接印刷する技術です。デジタル印刷とは.png

従来のオフセット印刷と異なり、版を作成せずに短時間で高品質な印刷が可能です。このため、特に小ロット多品種の印刷物に適しており、「必要な分だけ、必要なときに」印刷できる印刷方式と言えるでしょう
反対に、大部数の印刷には不向きです。

デジタル印刷とオフセット印刷の違い

印刷プロセスの違い

デジタル印刷はデータから直接印刷しますが、オフセット印刷では印刷のハンコとして、C(シアン)・M(マゼンタ)・Y(イエロー)・K(ブラック)の4色の「刷版(さっぱん)」が必要です。
デジタル印刷とオフセット印刷の工程比較.png

オフセット印刷では、刷版にインキをつけ、版についたインキをブランケットと呼ばれるゴム胴へ転写(オフ)してから紙に印刷(セット)します。

オフセット印刷.jpg

オフセット印刷は前述の版が必要なため、数千~数万部のロットを印刷する場合には1部あたりのコストが下がりますが、少ない部数の場合にはコスト高となってしまいます
この点で、少部数多品種のニーズが高まっている現代においては、デジタル印刷の需要が高まってきました。

オペレーターに求められる経験や技術の違い

オフセット印刷は、印刷オペレーターが4色のインキ量を微調整して見本に色を近づけていくため、気温や湿度、温度による微妙な色の違いも人の目で確認し、毎回高品質な印刷物を仕上げることができます。その代わりに、オフセット印刷では長年の経験や技術が求められることになります。

一方、デジタル印刷ではデータを直接出力するため、DTPソフトやデジタル印刷機の基本的な操作さえ身に付けてしまえば、オペレーターの技術や経験に関わらず誰でも均一な品質の印刷物を出力することができます。現在ではデジタル印刷の色の再現性や表現できる色域も広がり、オフセット印刷と遜色ない仕上がりが期待できます。

●オフセット印刷とデジタル(オンデマンド)印刷の違いに関する詳しい内容はこちら

デジタル印刷の種類

このセクションでは、「トナー方式」と「インクジェット方式」という2つのデジタル印刷方式について詳しく解説します。

トナー方式

トナー方式.png

粉末状のインキである「トナー」をプリンター内部の感光体ドラムに付着させ、熱と圧力を加えてトナーを用紙に定着させる方式で、レーザープリント、電子写真方式とも呼ばれます。
インキを乾かす必要がなく、短時間で仕上がります。オフィスにあるコピー機の多くはこの方式です。

熱でトナーを定着させるため、熱に弱い紙には適さない点、また、刷り上がった印刷物も高温のものに密着させると印刷が剥がれる可能性がある点には注意が必要です。車内や炎天下での長時間の使用が想定される印刷物には不向きです。

インクジェット方式

インクジェット方式.jpg

印刷機に内蔵されたノズルから、インキをスプレーのように紙に直接吹き付けて印刷する方式です。インクを直接吹き付けるため、インクの混色によって滑らかなグラデーションや鮮やかな色彩を表現でき、写真やイラストの印刷に優れています。家庭用プリンターはほとんどがこの方式です。

印刷速度が遅いため、大量印刷には不向きな方式です

YPGではトナー方式・インクジェット方式両方のデジタル印刷機を保有しており、仕様やデザインによってオフセット印刷も含めた最適な印刷方法を選択させていただきます。

デジタル印刷のメリット・デメリット

デジタル印刷は、現代の印刷技術として多くの場面で活用されています。ここでは、そのメリットとデメリットについて詳しく見ていきます。

メリット

1.必要な分だけ印刷できる

デジタル印刷は版をつくる必要がないため、少ない部数から印刷することが可能です。

従来の印刷では大量印刷しない限り1部あたりのコストが下がらないため、大量に作るのが主流でしたが、保管・管理や改版時の廃棄にもコストがかかっていました。
デジタル印刷であれば最小限必要な部数だけを都度印刷して不良在庫のリスクを減らし、在庫レス・廃棄レスを実現することができます

2.ペーパーレスにつながる

前述の通りデジタル印刷で適正な部数を発行することは不要な紙の廃棄を減らし、限りある森林資源を守ることにつながります

またオフセット印刷では製造時に、インクや版の調整のために「見当合わせ」や「色調整」のための試し刷り用紙(ヤレ紙)が多数発生しますが、デジタル印刷ではデータを直接印刷するため、ヤレ紙がほとんど発生しません。製造時にもペーパーレスで環境に貢献することができるとともに、そもそも必要な用紙枚数が少なくなるため、コスト面でもメリットが出ます

3.急な修正や短納期にも対応できる

製版を必要としないデジタル印刷は、版をつくる工程が減る分、修正や増し刷りに素早く対応することが可能です。

当社でも、急な修正が必要になったり、予想よりも捌けが早く少部数だけでも追加の印刷が必要になった場合などには、デジタル印刷でスピード感をもって対応させていただいています。

4.パーソナライズされた印刷にも対応できる

オンデマンド印刷は「イラストや画像違いで複数種類の販促物をつくりたい」「シリアルナンバーを入れて印刷したい」などのご要望に応えることもできます。業界用語では「バリアブル(可変)印刷」と呼ばれる印刷方式です。
データベースと連携すれば、顧客の名前、住所、購買履歴に応じた製品情報などを個別に反映させ、パーソナライズされたDM、クーポン、通知などを効率的に作成、マーケティング効果を最大化することもできます

4.少部数の特色印刷やRGB印刷にも対応できる

当社では、デジタル印刷で特色の印刷に対応でき、メタリック、ホワイトなどの色を使った印刷が少部数から可能です。DICやPANTONEなどの特色インキも、限りなく近い色味で再現することができますので、部数が少ない場合でも諦めてしまわず、ぜひ一度ご相談いただければと思います。

また、従来のCMYK印刷では表現できなかった鮮やかな色を再現することのできる「RGB印刷」にも対応可能です。RGB印刷とCMYK印刷では、表現できる色域に下の写真のような違いがあります。RGBとCMYKの色比較.jpg

モニターで見たような鮮やかな色を印刷で再現したい場合、RGB印刷がおすすめです。

デメリット

1.部数が増えるとコストがかさむ

デジタル印刷は、1枚あたりの印刷コストが基本的に部数に関わらず一定です。
そのため、少部数ではオフセット印刷より有利ですが、部数が増えるにつれてオフセット印刷との単価差が縮まり、ある一定の部数を超えるとオフセット印刷の方がコスト効率が良くなります

仕様にもよりますが、当社ではおよそ500~1,000部以下の場合にデジタル印刷をおすすめしております。

2.用紙サイズや厚み・種類に制限がある

一般的に、デジタル印刷機はオフセット印刷機に比べて印刷できる用紙サイズが小さい傾向があります。A1サイズ以上の大判ポスターなど、大きなサイズの印刷物には不向きです

また、デジタル印刷機は、対応できる用紙の厚みや種類に制限がある場合があります。特に厚手の用紙や特殊紙への印刷は、オフセット印刷の方が柔軟に対応できることが多いです
デジタル印刷で使用したい特殊紙が決まっている場合は、印刷適正を検証する必要が生じる場合がございますので、ぜひお問合せください。

デジタル印刷の市場規模

このようにさまざまな特徴を持ったデジタル印刷ですが、縮小傾向の印刷業界の中で、時代にマッチした印刷方法として市場規模をキープしているようです。
株式会社矢野経済研究所の調査(2022年)によると、2021年度の日本のデジタル印刷市場は3,214億6,000万円(前年度比3.8%増)と増加する見込みであることが発表されました。デジタル印刷市場の推移_矢野経済研究所.png

2014年と比較しても増加していることから、小ロット、パーソナライズ、短納期といったニーズに対応できるデジタル印刷の重要性が増していると考えられます。

デジタル印刷の活用シーンは?

デジタル印刷は現在、さまざまなビジネスシーンで活用されています。最適な方法で印刷することで、より効果の高い魅力的な印刷物を発行することが可能です。
このセクションでは、具体的な活用例をご紹介していきます。

【カタログ・パンフレット】少ない部数で改廃に対応

カタログやパンフレットの製作において、少ない部数で改廃に対応するためにはデジタル印刷が有効です。
デジタル技術を活用すれば必要な分だけ迅速に印刷できるので、在庫リスクを大幅に軽減できます。

例えば原材料価格が変動しやすいメーカー様などは、1年以内に価格改定や製品情報の変更が発生する場合にも柔軟に対応することができます。従来訂正案内の差し込みや訂正シールで対応されている場合も、内職作業費や訂正案内・シールなどのコスト、不要になった印刷物の廃棄コストを削減することができます

【チラシ】バリアブル印刷で魅力的な販促

バリアブル印刷は、パーソナライズされた販促物を実現する印刷方法であり、デジタル技術を活用したマーケティング手法であるともいえます。

例えば地域に根差した店舗やイベントのチラシに、顧客が住む地域ごとに開催されるイベント情報、近隣店舗の特別セール、地域のニュースなどを盛り込み、エリアごとにより訴求力の高い効果的なチラシをつくることが可能です。
顧客にとっては身近な場所の情報が掲載されているため、実際に店舗に足を運んだり、イベントに参加したりする動機付けになり、顧客とのエンゲージメントを高めることにつながるでしょう。
それぞれのエリアで異なるクーポンを付け利用数を計測するなど、効果を測る施策も考えられます。

バリアブル印刷は、企業の市場競争力を高めるために有効な施策のひとつです

【ポスター】RGB印刷で目を惹く鮮やかな色彩を表現

デジタル印刷技術を活用したポスター制作では、RGB印刷が可能となり、従来の方法では表現しきれなかった鮮やかな色彩を実現できます。スマートフォンやデジタルカメラで撮影した彩度の高い写真や、デジタルで描かれたイラストをそのままの鮮やかさで印刷できます。特に広告やプロモーション活動においては、ぱっと目を惹く視覚的インパクトのある印刷物を実現することが可能です。

RGB印刷は多くの人の目に留まってほしいポスターなどの販促物で特に効果を発揮するでしょう
例えば蛍光色やネオンカラーの活用は、音楽フェスティバル、ファッション関連イベントなど、若年層をターゲットにしたポスターで効果的と考えられます。
また、写真がメインのポスターであればシズル感を強調した食品のポスター、現地の美しい風景をより印象的に際立たせた観光ポスターなど、さまざまな用途が考えられます。

デジタル印刷からできる業務改善や販促効果をご提案します

デジタル印刷の魅力や活用シーンについて、ご案内させていただきました。デジタル印刷は適切な場面で採用することで、業務改善や販促効果アップにつながる手法です。

YPGではデジタル・オフセットともに印刷機を保有しており、お客様にとって最適なご提案が可能です。ご興味をお持ちいただけましたら、下記フォームよりどうぞお気軽にお問合せください。



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