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SDGsとは?企業が取り組むメリットや方法をご紹介

SDGsとは、国連サミットにおいて定められた持続可能な開発目標のことです。
達成目標である2030年までの期限が迫るいま、SDGsへの取り組みは以前にも増して世界的に加速しており、企業が社会に貢献する姿勢を示す基準にもなっています。

この記事では、SDGsの概要とともに、SDGsに取り組むメリットやその方法、具体的な取り組み事例などについて紹介します。SDGsへの取り組みを今から始めたい、さらに加速させたいとお考えの企業担当者様におすすめの内容です。
ぜひ、貴社の取り組みの参考になさってください。

SDGsとは

そもそも、近年よく見聞きするSDGsは「Sustainable Development Goals」の略称であり、日本語で「持続可能な開発目標」という意味になります。それぞれの単語の頭文字と、最後にあるGoalsのsを合わせて"エスディージーズ"と読みます。

SDGsは2016年から2030年の15年間で達成すべき「世界共通の目標」として、2015年9月の国連サミットで、国連に加盟する全193カ国によって採択されました。
2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標として、17のゴール・169のターゲット(具体的な目標)から構成され、発展途上国も先進国も、その国の状況を問わず地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っています。

17の目標と169のターゲット

SDGsには、17種類の目標と、それらの目標を達成するための169個のターゲット(具体的な目標)があります。

よく目にする下のマークは、17の目標を文字とイラストでアイコン化したもの。17項目の目標をぱっと見てわかりやすく、カラフルな色使いで表現していますね。

sags目標一覧.png

上記の17の目標の下に、それぞれの目標を達成するための具体的なターゲットが設定されています。
例えば目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」では、
「安価かつ信頼できる現代的エネルギーサービスへの普遍的アクセスを確保する。(ターゲット7.1)」
「2030年までに、世界のエネルギーミックスにおける再生可能エネルギーの割合を大幅に拡大させる。(ターゲット7.2)」
など5項目のターゲットが定められています。

ターゲットは各目標への取り組み方について、具体的な視点で触れられているため、どのように取り組めばよいのかわからないときの参考にすると良いでしょう。

農林水産省「SDGsの目標とターゲット」

SDGsとCSR・ESGの違い

SDGsと似た取り組みとして「CSR」や「ESG」などがあります。

CSRとは「Corporate Social Responsibility」の略であり、企業の社会的責任を表しています。企業は単に利益を追求すればいいわけではなく、従業員や消費者、投資者、環境などへの配慮から社会貢献まで幅広い責任を負っており、企業はその責任を適切に果たすべきという考え方です。
SDGsが達成すべき目標を掲げているのに対して、CSRでは各企業が担うべき責任は、その企業の業種や体制によって異なります。そのため、各社はそれぞれ自社に合った課題を見つけてCSRを自ら作り上げていきます

また、ESGは「Environment(環境)」「Social(社会)」「Governance(ガバナンス)」のそれぞれの頭文字をとった表現で、投資家の目線から企業の長期的な「持続可能性」を評価する際の重要な基準として挙げられている指針のひとつです。
ESGで重視される観点とSDGsの目標は重なっている部分が多く、企業がESGに配慮しながら経営することで、結果的にSDGsで定められている目標の達成にも近づいていくといえます

SDGs、CSR、ESGの考え方は、いずれも社会や企業の持続可能性を高めるという目的があり、強い関連性があると言えるでしょう。中でもSDGsは国際的な達成目標として、CSRやESGよりも広い範囲で、具体的な取り組みを先導していると捉えられます。

企業がSDGsに取り組む意味

SDGsのキホンについて確認したところで、企業とSDGsの関わりについても確認していきましょう。

企業が取り組むSDGsの「今」

はじめに、企業のSDGsへの取り組みは今、どのようになっているか、帝国データバンクによる2023年6月の調査をもとに見ていきましょう。

帝国データバンク SDGsに関する企業の意識調査(2023年)

SDGsに積極的な企業は50%超、実際に取り組んでいる企業も27%

自社におけるSDGsへの理解や取り組みについて聞いたところ、SDGsに積極的な企業は5割超の53.6%であることが分かりました。

意味および重要性を理解し、取り組んでいる...27.4%(前回2022年6月調査より3.8ポイント増加)
意味もしくは重要性を理解し、取り組みたいと思っている...26.2%(前回2022年6月調査より2.4ポイント減少)

SDGsの取り組みに積極的な中小企業が5割超に増加

規模別にみると、SDGsに積極的な企業の割合は以下の調査結果になりました。

大企業...71.6%
中小企業...50.4%
小規模企業...42.8%

中小企業は、帝国データバンクが調査を開始した2020年以降初の5割超えとなり、規模の小さい企業でもSDGsに取り組む姿勢が高まってきている様子が分かります。

企業の約7割がSDGsへの取り組みによる効果を実感

SDGsの各目標に力を入れている企業にSDGsへの取り組みによる効果を尋ねた調査項目では、効果を実感している企業の割合は69.2%(前回調査66.5%から2.7ポイント増)の結果となっています。

具体的に実感している効果としては、以下のような回答結果が出ています。

企業イメージの向上...38.1%
従業員のモチベーションの向上...32.9%
経営方針等の明確化...18.1%
採用活動におけるプラスの効果...15.8%
売り上げの増加...12.7%
新規事業立ち上げ、新商品・サービス開発...8.7%

SDGsへの取り組みを通じて、企業の成長にもつながっている様子が分かります。

企業がSDGsに取り組む3つの効果

上の調査からは、SDGsに積極的な企業が増えてきていること、その取り組みが社会貢献のみならず企業の成長にもつながっていることが分かります。SDGsは社会にとっても、自社にとっても良い効果をもたらすことから、取り組む企業数が右肩上がりであると言えるでしょう。

SDGsに取り組むメリットとして、大きく以下の4つの効果が挙げられます。

1.企業イメージの向上

SDGsに取り組んでいるという事実は、企業のブランドイメージ向上につながります

世界的にSDGsへの関心が高まっている現在、SDGsへの取り組みを対外的にPRすることで、「この会社は信用できる」と印象付け、企業としての信頼獲得、ユーザーから選ばれる要因につながります。
ひいては自社の商品やサービスの売り上げ向上や、より多様で優秀な人材との出会いにつながる可能性があります

企業で働く社員にとっても、労働環境や待遇がより良く改善されたり、自社のSDGsへの取り組みに参加することで社会に貢献できるなど、働くモチベーションを高める効果期待できます。インナーブランディングという意味でもSDGsへの取り組みは効果的です。

2.経営リスクの回避

SDGsの目標に含まれる気候変動や戦争・紛争などの世界的課題は、自社の経営にとってもリスクです。自然災害や戦禍によって自社製品の原料が高騰・不足したり、生産拠点である工場が閉鎖したりする可能性は、常に付きまといます。
SDGsには、今社会が抱える課題が網羅されており、企業にとってはリスクに気付くためのガイドでもあるでしょう

また今後、企業によるSDGsの取り組みが今以上に当たり前になっていけば、取り組まないことで取引先や顧客が離れかねません。また、先に触れたESG経営を投資家や金融機関からの資金調達に際しても、SDGsへの取り組みは欠かせません。
今からSDGsに取り組むことで長期的な経営リスクを回避することにつながります

3.新たな事業機会の創出

SDGsに含まれる気候変動や生物多様性の損失などの課題は、企業にとってリスクであると同時に、他社との差異化を図りビジネスチャンスにつなげられる分岐点でもあります。

SDGsに取り組むことで、自社が検討してこなかったビジネスチャンスに気付くきっかけになります。取り組みを推進することで、今までコラボレーションがなかった他社や行政と一緒に企画を打ち出す機会も生まれるかもしれません。

SDGsへの取り組みは、新しいパートナーシップや斬新な新規事業が生まれる可能性を秘めています。

企業がSDGsに取り組む方法

幅広い効果が期待できるSDGsへの取り組みですが、実際に取り組みを始めるにはどのようなステップを踏めばよいのでしょうか?

取り組みのステップを示す「SDGコンパス」

sdgscompass.png

具体的な行動指針として「SDGコンパス」が示されています。
これは、グローバル・レポーティング・イニシアティブ(GRI)、国連グローバル・コンパクト(UNGC)、持続可能な発展のための世界経済人会議(WBCSD)の3組織が開発したSDGsの行動方針で、企業がSDGsを経営戦略に取り入れるための手順や方法をステップ1から5の段階に分けて説明しています。

SDGコンパスの5つのステップ

ステップ1 SDGsを理解する
...SDGsと企業が取り組む意味を理解します。
ステップ2 優先課題を決定する
...SDGs17の目標のうち、自社が貢献できる項目や程度を明確にします。
ステップ3 目標を設定する
...ステップ2で決めた優先課題を具体的にかつ測定可能な期限付きの目標にして、情報発信をします。
ステップ4 経営へ統合する
...ステップ3で定めた持続可能な目標を達成するための取り組みを、各部門に組み込み実行します。
ステップ5 報告とコミュニケーションを行う
...SDGsへの取り組みの進捗状況や達成度、影響について情報開示します。

SDG Compass「SDG Compass SDGsの企業行動指針--SDGsを企業はどう活用するか--」

SDGsの取り組みには、対外PRも重要

SDGsコンパスのステップ3、ステップ5にもあるように、せっかくSDGsに取り組むのであれば、その取り組み目標や成果を対外的に開示することも重要です。ステークホルダーや求職者に知ってもらうことで初めて、ビジネスとして良い効果を得ることができるでしょう

SDGsの認識が広まるにつれて、それに取り組んでいるのかいないのか、あるいはどんな内容で取り組んでいるのかを示すこと自体が、企業の社会的責任の一種である説明責任(アカウンタビリティ)の一部であると考えられるようになってきています。
近年では「サスティナビリティレポート(報告書)」や「統合報告書」といった報告書を開示する企業が、大企業を中心として増加しています。

また、より手軽に公開することができる「SDGs宣言」を公開する企業も多く見受けられます。これは、自社がどのような考えでSDGsに取り組み、なにをしていくのかというメッセージを、完結に箇条書きで表した宣言書です。
本格的なサスティナビリティレポートや統合報告書よりも手軽に取り組めるので、まずは「SDGs宣言」を作成して自社のWebサイトや会社案内、入社案内などに掲載するというのも良い方法です。

対外PRは「SDGsウォッシュ」にならないように注意

対外的にSDGsの取り組みをPRする際には「SDGsウォッシュ」=「SDGsに取り組んでいるように見せかけること」にならないよう気を付けなくてはなりません。
例えば、本来のSDGsにはつながっていないうわべだけの行動をしている、不都合なことは隠して良いことだけをPRしている、あるいは取り組みの実態よりも過剰にPRしている、などを指します

SDGsは社会をサステナブルにするための取り組みであり、それに正しく取り組んでいる結果として企業イメージ向上などの効果が付いてきます。最初から「企業イメージを良くしよう」という意図でSDGsに取り組むのは本末転倒です。

最終的に地球と社会をサステナブルなものするためという大きな目標のために、自社事業が果たせる役割が何なのかを明確にし、それを主軸に活動することを前提としましょう

SDGsウォッシュの例

●環境負荷が大きい使い捨てプラスチック製品を製造している企業が、植林活動に参加して「SDGsへの取り組み」としてPR
→本来の事業で環境負荷を容認していることとなってしまい、本質的な取り組みになっていません。プラスチック自体を環境負荷の少ない代替材料に変更するなど、根本的な解決がSDGsへの取り組みとして評価されます。

●「すべての人に健康と福祉を」という目標に対して、男性社員が育児休暇を取得できるとPR
→育児休暇の取得は法律で定められている「やって当たり前」のことなので、SDGsへの取り組みとして過剰にPRすべきではありません。この場合、取得率などの具体的な数値目標を決めて公表しましょう。

●人種や国籍などによる不平等をなくす取り組みをPRしているのに、社員がSNSで差別的な発言を行う
→ひとりの発言が、企業イメージを大きく損なう事態にもつながる可能性があります。社内にも会社の取り組み方針を浸透させ、全社的な意識の統一が必要です。

SDGsへの取り組みを、広報媒体からご支援します

ここまで、SDGsのキホンから企業が取り組む意味、取り組み方を解説してきました。
社会にとっても企業にとっても、2030年に向けて取り組む必要性がますます高まるであろうSDGs。具体的な取り組みを加速させていきたいですね。

YPGでは、SDGsが提唱される以前から環境に配慮した印刷物をご提供してまいりました。その実績を生かし、SDGsに取り組む企業様・自治体様などでも環境に優しい印刷で広報・販促ツールのご支援をさせていただいております

2023年からはさらにお客様の環境への取り組みに貢献すべく、印刷物の製造時に排出されるCO2をクレジット購入して環境保全活動に貢献いただける「カーボンオフセット印刷」の取り扱いを開始いたしました。

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