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ナレッジ共有とは?メリットや共有のやり方をご紹介

「終身雇用」が当たり前ではなくなり、人材が流動的な現在、個々人が持つ知識やノウハウを組織全体で共有する「ナレッジ共有」は、組織にとって重要になっています。

この記事では、組織にとっても働く人にとっても有意義なナレッジ共有について、そのメリットや共有の方法を解説します

「ナレッジ」とは?

ナレッジとは、英単語の「knowledge」のことで、意味は「知識」「知見」「心得」などです。
組織にとってのナレッジは、業務上のマニュアルや知識、実務経験、実際の事例など多岐に渡ります。

暗黙知と形式知

企業におけるナレッジには「暗黙知」と「形式知」の2種類に分けることができます。

暗黙知

各従業員が働く中で身につけるノウハウや勘、イメージなど、経験から生まれる主観的な知識を「暗黙知」と言います
例えばお客様先との商談が成功した体験や、こうしたら失敗する、といった危機察知能力なども暗黙知だと言えるでしょう。

暗黙知は個人の経験に基づいている分、人と共有する機会が少なく、属人化している場合が多いナレッジです。
共有する方法としては、現場で実務を経験しながら学ぶOJT(On the Job Training)などが挙げられます。

形式知

文章や図表・計算式など、何らかの手段で見える化されている客観的な知識のことを「形式知」と言います
例えば接客マニュアルやトラブル対応フローなど、個人のノウハウに頼らずに誰もが理解し、活用することができる情報です。

一見、形式知と暗黙知は相反するように見えますが、前述の接客マニュアルやトラブル対応フローなども、元々は個人の経験に基づいて作成されるものであり、形式知は暗黙知から生まれていると言えるでしょう。

暗黙知と形式知.png

ナレッジ共有においては、このように個々人が持つ暗黙知を形式知に変換することで、社内の誰もが分かりやすく活用できる組織のナレッジを作り上げていくことが大切です。組織のナレッジを共有化・活用して経営に生かすことを「ナレッジマネジメント」と呼びます。

社内ナレッジが年々失われている?

日本企業の離職率(年度の開始時に従業員だった人が年度内に同企業を退職している割合)は、おおむね毎年15%前後であるという調査結果(※1)が出ています。

もちろん企業によって離職率に差はありますが、日本全体で平均すると、社内の人材に溜まっている貴重な財産であるナレッジが毎年約15%ずつ失われていると考えることができます。

また、近年は人材の流動化が進み、優秀な社員が自身のキャリア形成のために職場を離れるケースが多くなりました。
コロナ禍が始まる直前である2019年には過去最多の転職者数を記録しています(※2)。
コロナ禍では景気の停滞もあり転職者数は減少傾向にありましたが、2023年10月現在ではまた徐々に増え始めていて、今後も活発化すると予想されます。

このように人材の流動化が進む現在だからこそ、重要な財産であるにも関わらず属人化しやすいナレッジを、いかに見える形で社内に残すかは、企業にとって大きな課題であると言えます

※1 参照:令和4年 雇用動向調査結果の概要 入職と離職の推移
※2 参照:増加傾向が続く転職者の状況 ~ 2019 年の転職者数は過去最多 ~

「ナレッジ共有」とは?

「ナレッジ共有」とは、仕事をする上で必要な知識やノウハウなどのナレッジを組織で共有することを指します。

個々の社員には、日々の企業活動の中で培った目に見えないナレッジ(暗黙知)が豊富にあります。それを見える化(形式知化)して、組織の知識とすることがナレッジ共有です。属人化を防ぎ、業務の効率化・標準化が期待できます

ナレッジ共有の種類

ひとことでナレッジ共有といってもその領域は多岐に渡ります。共有するナレッジの種類によって、以下のように分類できます。

事例の共有

成功事例はもちろん、失敗事例も共有します。さまざまな事例を共有しておきことで、経験が浅い社員にも対処方法が蓄積され、事例を生かして成功につなげたり、失敗を防ぐことにつながります。

専門知識の共有

経験豊富な社員が専門的なナレッジを共有することで属人化・標準化が期待できます。また、基礎的な専門知識のナレッジ共有は新入社員の教育にも活用することができます。

知的資産の共有

日常業務に必要なツールの使い方や顧客提案に役立つフレームワーク、統計データ、関連法など、業務に役立つ汎用的なナレッジを共有することで知識の底上げを図ります。調査の手間が省けることで業務効率化にもつながります。

ナレッジ共有のメリット

ナレッジを共有することによって、以下のようなメリットを得ることができます。

属人化を避けられる

業務上のナレッジが個人に蓄積されたままだと、特定の社員のみしか特定の業務を進められなくなる「属人化」が発生します。属人化した状態でナレッジを有する個人が休んだり、異動・退職することは、組織にとって大きなダメージとなってしまいます。

人材が流動的な時代においてもナレッジを社内に残すためには、意識的に属人化を回避する必要がありますが、そのために日頃からナレッジを共有しておくことが重要です

より良いスキルを標準化できる

より作業効率の良い方法や優れたスキルをナレッジとして共有することで、業務がより成功確度の高い方法に標準化され、全体の生産性が向上します

例えば成績トップの営業担当が心がけている商談のコツなどをナレッジとして共有することで、他の営業担当もコツを倣ってより良い商談ができるでしょう。

また成功体験だけでなく失敗体験の共有も、次に同じことが起こらないための予防として非常に有効です。

社員の働きやすさにつながる

不明点が発生した場合にいつでもナレッジを確認できる共有プラットフォームがあると、社員の働きやすさにもつながります

従来は知識がある人に直接聞かなければならなかったことも事前に共有しておくことで、聞かれる側の時間を割くことなく、知りたい人が知りたいときにナレッジにアクセスできます
リモートワークや出張時にも有効です。

ナレッジ共有のやり方は?

ナレッジの共有は、その情報の形式によって「テキストでの共有」と「動画での共有」に大きく分類することができます。ここでは、それぞれのやり方とメリット・デメリットを考えていきましょう。

テキストでの共有

ナレッジ共有のやり方としてまず考えられるのは、テキストで共有することです。業務の流れややり方、コツなどをテキスト化します。専門用語集や業務フロー、トラブル対応のQ&Aのようなマニュアルなどに向いています。

テキスト化のメリット

・ハードルが低い
ナレッジを持っている社員がテキストを作成するだけなので、見える形にするまでのハードルは比較的低いといえます。後述する動画でのナレッジ共有に比べると誰でも簡単に作成できます。

・検索性が高い
テキストですので、検索をかけることが容易です。膨大な情報の中から関係のある情報を検索して絞り込むことができます。

・内容修正のメンテナンスが容易
テキストデータなので間違いや変更点があった場合も、誰でも該当箇所を修正してメンテナンスすることができます。

・デバイスへの依存が少ない
リモートワークや営業先での活用も考慮するとPCやスマートフォン、タブレットなど多様な環境が想定されますが、テキスト情報であればどの端末でも確認しやすい点がメリットです。
音が使えないような環境であってもテキストのナレッジならば簡単に確認することが可能です。

テキスト化のデメリット

・テキストを書く人によってナレッジの質が変わる
ナレッジを書く人によって、その粒度やわかりやすさ、正確性など、質が変わってしまうことが考えられます。 取材をして代行して書く場合でも、動作や話し方、音など、明文化しにくい部分はナレッジとして汲み取りにくいと考えられます。

・明文化しづらいナレッジには向かない
機械の操作方法や資材の扱い方などの動きはなかなかテキスト化が難しく、また読む側も理解しにくいものです。また、作業時に発生する音(アラートや警告音など)の説明もテキストは苦手な分野です。
製造現場以外に、営業の分野でも話し方や間の取り方、表情の作り方など、テキストだけでは伝えきれない情報も多いです。

・読む側の負担が大きい
テキスト情報は能動的に読む必要があるため、受け取り側の負担が大きいと考えられます。また、読み手のイメージに依存する場合があるので、間違いなく情報が伝わるかにも不安が残ります。

動画での共有

テキスト以外の主なナレッジ共有方法として動画で共有する方法も考えられます。動画を撮影、簡単な編集を加えてナレッジ化する方法です。実際の作業風景や機械の操作方法、営業トーク事例などに向いています。

動画化のメリット

・明文化しづらい情報が伝わりやすい
動画でのナレッジ共有では、動きや話し方、音などテキストでは明文化しづらい情報も容易にナレッジ化することができます。
工場内での作業の様子やオンライン営業の風景などの動画を撮影し、余計な箇所のカットなど簡単な編集を加えるだけでナレッジ共有ができてしまいます。

・テキストに比べわかりやすい
動画はテキストよりも情報量が多く、わかりやすいと言われています。
動画の情報伝達力について、アメリカの調査会社Forrester ResearchのJames L. McQuivey博士が2014年4月に発表した研究(※1)によると、「1分間の動画は、180万字に相当する情報を伝えられる」という結果が出たと言います。 また、特に若い世代は動画共有サービスへの馴染みが深く、理解しやすいという意見が多い(※3)です。

※3 参照:令和4年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書<概要>

・編集ソフトウェアが発達により容易に制作可能
従来動画編集というと専門性が高く、なかなか手が出しにくい分野でした。しかし、近年の動画文化発達により急速にソフトウェア開発が進み、動画編集が身近な存在となりました。
スマートフォンで撮影してそのままアプリで編集したり、PCに一度取り込んでからwindows10にデフォルトでインストールされている動画編集ソフト「ビデオエディター」を使用することで容易にナレッジ動画を作成することが可能です。

動画化のデメリット

・内容修正のメンテナンスが難しい
動画の内容に誤りが見つかったり、修正が必要な箇所が出てきたりするケースがあります。テロップは比較的簡単に修正可能ですが、映像素材を直す場合はその箇所を撮影し直すなどの対応が必要になってきます。

・検索性がテキストよりも劣る
検索性ではテキストでのナレッジ共有に軍配が上がります。ナレッジの全体像をしっかりと伝えるという意味では動画でのナレッジ共有は優れていますが、わからない一部だけを知りたいという場合には動画の中から該当箇所を探す手間が発生します。

・動画共有のプラットフォームが必要
ナレッジ動画を共有する方法として、動画ファイルを社内サーバーなどで共有する方法が考えられます。しかし、社内サーバーで共有する場合はタイトル以外の情報を付帯しにくく動画の概要が分かりにくくなりがちです。また、アップロード連絡から動画に対してのフィードバック、視聴状況の確認など、管理者側が運用面で工夫をしていく必要が発生します。

ナレッジ共有を成功させるには

ここまでで、ナレッジにはさまざまな種類があり、共有のやり方によっても一長一短あることを解説してきました。
実際に社内でナレッジ共有を実行する際には、これらを加味して有効に運用できるナレッジの選定と体制づくりが必要になります。ポイントを以下で詳しく見ていきましょう。

目的を明確にする

貴社がナレッジ共有する目的は何でしょうか?
製造現場の人材不足の解消、営業部門の成績の底上げ、若手社員の教育効率化、部門間での連携強化など、ナレッジ共有によって目指す目的をまずは明確にし、複数ある場合は優先順位を付けましょう

目的を明確にすることで、どの部署の・どのナレッジを共有化すればいいかが見えてくると思います。

共有するナレッジを洗い出す

目的が明確になったら、その目的を達成するために共有すべきナレッジを洗い出します

ナレッジをリストアップする際は、現場目線で「本当に活用できる(すべき)情報か」を見極めていくことが大切です。該当部門の管理者が中心となって、情報の必要性や現場での使いやすさなどをよく検討し、優先順位をつけながら、ナレッジ化すべき情報を決定していくのがおすすめです。

社員に理解してもらう

ナレッジ共有を実行しようとするとき、導入側だけでなく、実際にナレッジ(暗黙知)を保有する社員それぞれの協力が不可欠です。ナレッジを共有することでもたらされるメリットを明確にし、目的を理解してもらう必要があります。

日々の業務に加えて、ナレッジを共有できる形式知に変えることは労力が伴います。積極的に実行に移してもらうためには、ナレッジ共有によって結果的に自分たちの将来の業務が楽になったり、業績アップにつながるといった長期的なビジョンを示しつつ、ナレッジ共有すること自体を評価するなど短期的な施策も検討する必要があります。

ナレッジ共有しやすい体制をつくる

ナレッジ共有を実行する場合、特に初期段階では、多くの手間と時間がかかります。実務に追われる社員にとって、たとえ目的を理解していてもなかなか共有化する時間を避けない可能性があります。

できるだけ共有の手間を減らすために、管理者側でツールの導入やテンプレートの準備を進めましょう

初期段階では、現場に対して管理者側が題材を提供したり、自ら積極的にナレッジ共有を行うことも有効です。共有したナレッジの有効性が実感されれば、自然と現場からの共有も増えていくはずです。共有したナレッジの視聴回数が分かったりコメントできると、社内のコミュニケーションが活性化され共有者のモチベーションにもつながりますね。

ナレッジ共有ツール「KnowledgeGrow」

YPGでは、動画でのナレッジ共有をメインとしたツール「KnowledgeGrow(ナレッジグロウ)」をご提供しています。申し込みから2週間程度で簡単に立ち上げることができる社内限定の動画共有プラットフォームです。

KnowledgeGrowの特長
・安心のセキュリティ:ユーザーごとにID・パスワードが割り振られ、不正ログインを抑制
・マニュアルなしで使えるシンプル操作:Youtubeのような見た目で、直感的に使ってもらうことが可能
・マルチデバイス対応でアクセス可能:インターネットに接続できる環境なら、どこからでも使用可能

KnowledgeGrowは双方向のプラットフォームとして利用可能です。管理者が研修や講座の動画をアップロードして該当社員に見てもらう、という使い方以外にも、ユーザーに対して動画アップロード権限を付与して全ユーザーからナレッジを集める、という使い方でもご利用いただけます。
動画に対してはコメントを付けることも可能なため、動画を通じて社内のコミュニケーションを活発化して社内ナレッジの集約先・交流のプラットフォームとすることができます。

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