\ 研究ノート / 環境対策は印刷物からはじめよう
すこし前までは「北極の氷河が溶けるらしいよ」などと海の向こうの問題だった気候変動ですが、今や日本でも地球温暖化による異常気象、気候変動の影響で、農産物や海産物の収穫にも影響があり、目に見えるかたちで私たちの前にせまってきました。
環境問題は、「誰かがなんとかしてくれる」とか「今はまだ大丈夫」という種類のものではありません。「社会を構成するひとりひとり」が、「今から少しずつ」でも始めなければいけない課題です。
環境問題がビジネスに与える影響
持続可能な開発目標(SDGs)
国連が採択したSDGsは、経済成長と社会の発展を両立させながら、環境問題を解決するための国際的な目標です。企業もこの目標達成に貢献することが求められています。
SDGsに沿った目標を掲げることが、今や企業イメージの維持・向上のためのスタンダードとなっています。
消費者の意識変化
環境に配慮した製品やサービスを求める消費者が増え、企業はサステナビリティを重視した商品開発を行うことが求められています。
※ボストン コンサルティング グループ(BCG)が2024年3月に発表した「サステナブルな社会の実現に関する消費者意識調査」によれば、地球温暖化や気候変動問題を知って行動を変えたと回答した消費者は18%でした。
信頼性の高い書籍やウェブサイトを活用し、これらの基本的な概念について学びましょう。例えば、以下のようなウェブサイトが参考になります。
規制の強化
世界各国の政府は、温室効果ガスの排出削減目標を設定し、再生可能エネルギーの導入を促進するなど、環境規制を強化しています。
ヨーロッパがリードする環境規制ですが、日本企業も人ごとではありません。これらの規制に対応するために、環境対策を進める必要があります。
印刷物は環境対応の第一歩
環境にやさしく、といえばまず思いうかべるのが「ペーパーレス」だと思います。しかし印刷物がまったくのゼロだという企業は一握りではないでしょうか。紙に印刷したほうが効率的だったり、意思疎通がはかりやすかったりする場面もあります。
デジタルの時代だからこそ、ひとつひとつの印刷物の価値が高まりつつあります。どうしても必要な印刷物を、より環境にやさしいものにする。それこそが、手軽に始められる環境対応の第一歩であることをお伝えしたいと思います。
印刷物による環境対応はとても手軽です。なぜなら、環境に優しくない印刷物を、環境に優しい印刷物に置き換えるだけだからです。
私たちが提案する環境印刷物の合言葉は、
・今すぐに
・必要な分だけ、ムダなく
・よりよいものに
です。
環境にやさしい印刷物の具体策
環境にやさしい印刷物にするには、どんな方法があるのでしょうか?
「環境にやさしい」と聞くと、大がかりな設備投資や、手間のかかる取り組みを想像するかもしれません。でも、実はそんなに気負わなくても大丈夫。実は、紙やインキを変えるだけでも、立派な環境対策になります。
「紙やインキを変える」「CO2排出量をオフセットする」「無駄な印刷物を減らす」
―どれも、今日から取り組めることばかり。具体的にどういう方法があるのか、見ていきましょう。
環境に優しい紙やインキをつかう
印刷物をエコにするなら、まずは「何で作るか」を見直すのが手っ取り早い方法。
FSC認証紙を使うのも、そのひとつです。
これは「きちんと管理された森の木から作られた紙ですよ」とお墨付きをもらった紙です。これを選ぶことで、環境負荷の少ない紙を使うことができるます。
それから、再生紙もよく利用されています。
昔は「再生紙=ザラザラしてて質が悪い」といったイメージもありましたが、最近は再生紙と気付かないほど、品質の良いものも流通しています。
インキも、実は選べるんです。
植物由来のベジタブルインキは、石油由来のものと比べて、製造や廃棄時の環境負荷が抑えられるのが特長です。印刷工程全体の環境配慮を進めたい場合に、選択肢のひとつとして取り入れやすいインキです。
印刷物をカーボン・オフセットする
どれだけ気をつけても、印刷の過程でCO2は出てしまいます。でも、それを「なかったこと」にできるのが カーボン・オフセット という考え方。
印刷で排出されるCO2を計算して、その分の植林活動や再生可能エネルギーの導入に貢献する。これにより、印刷物のCO2排出量を相殺できる仕組みです。
最近は、名刺やパンフレットをカーボン・オフセット対応にする企業も増えてきました。「エコな会社ですね」と言ってもらえるきっかけにもなるので、企業の環境アピールとしても◎。しかも、「通常の印刷費用+数千円」 から導入できる場合が多いので、意外とハードルは低めです。
印刷物のロス(廃棄)をなくす
せっかく印刷したのに、使われずに廃棄される......これは環境にもコストにもやさしくないですよね。
まず試したいのは オンデマンド印刷。必要な分だけ印刷できるので、「とりあえず多めに刷っとこう」→「結局余って捨てる」という流れを防ぐことができます。
あとは、デジタル校正を活用するのも手。修正するたびに紙に出力していると、紙もインキも無駄に。PDFや専用ツールを使えば、画面上で確認できて、ペーパーレスにつながります。
さらに、小ロット印刷をうまく活用すれば、在庫を持たずに済みます。特に、キャンペーンチラシや期間限定の案内は、小回りの利く印刷方法を選ぶだけで、ぐっとエコになります。
目的や予算に合った印刷物をご提案
「環境にいいのは分かったけど、コストがかかりそう......」そんな声もよく聞きます。でも、実際は「できる範囲で」というスタンスでOK。
たとえば、「紙だけFSC認証紙にする」「少しずつカーボン・オフセット対応を増やす」など、小さな変化から始められます。全部を一気に変える必要はなく、無理なく取り入れることが大切です。
環境対応は、特別なことをしなくても、今ある印刷物を見直すだけで始められます。紙やインキを変える、カーボン・オフセットを活用する、無駄な印刷を減らす----どれも手軽にできる方法ばかりです。
「まずは何か始めてみたい」と思ったら、FSC認証紙や植物由来インキ、デジタル印刷を活用するのもひとつの選択肢。無理なく取り入れられる方法を、私たちがご提案します。
小さな一歩が、企業の環境対策の大きな一歩につながるはずです。どんな小さなことでも、お気軽にご相談ください!